こうへいの音楽夜話 番外編その1 2つのマンドリンコンサート

(1996年12月24日掲載)

桑原康雄様は、2003年12月6日ご逝去されました。ご冥福をお祈り申しあげます。


12月はこれとは違うメニューを用意しているのですが、久しぶりに、マンドリンの生の
コンサートを2つ続けて聞きましたので、つい書いてしまいました。これは番外編です。

クリスマスファミリーコンサート


日時:1996年12月21日
場所:西区民センター(神戸です)

神戸のマンドリン演奏家で作曲家でもある桑原康雄さんを中心とするマンドリンアンサンブルと
弦楽アンサンブルです。ファミリーコンサートと銘打って土曜にやってますので子供と一緒に
いくつもりでしたが、子供の方が都合が悪くなり一人で行ってきました。

組曲「日本の四季」 桑原康雄
演奏:マンドリングループGEN

マンドリン、マンドラ(ビオラと同じ音程のマンドリン)、マンドセロ(チェロの音程)、ベース、
チェンバロのアンサンブル。
さすがにマンドリンを熟知している桑原さんの曲だけあって、おなじみの童謡や唱歌をメドレーで
演奏しているのですが、その中でマンドリンの音色をフルに聴かせていました。
はじけば、リズミカルで弾力のある音になり、転がせば(トレモロのことです)遠くで合唱を聴いている
ような響きになります。

バロック風組曲「日本の四季」 桑原康雄
演奏:弦楽グループGEN
マンドリンソロ:桑原康雄、桑原佳子
同じように童謡・唱歌を題材にしていますが、こちらは思い切りバロックの合奏協奏曲ふうに仕上がっています。
音なしでお話しするのは難しいのですが、ヴィバルディの有名な「四季」とあまり有名でない「2つのマンドリン のための協奏曲」をあわせたようなイメージです。
弦楽合奏とソロマンドリン2つが、おなじみのメロディーをモチーフに、急−緩−急のバロック協奏曲で
春、夏、秋、冬を仕上げています。
時々モロにヴィバルディになったり、バッハになったりするのが、難といえば難ですが、聴いていたお年寄り夫婦が
そっと涙ぐんでしまうような、優しくて暖かい演奏でした。
それでいて、後で思い出すと、流麗な弦楽合奏の上で、マンドリンが恐ろしく難しそうなオブリガードを
弾いていたりします。

神戸大学マンドリンクラブ第41回定期演奏会


日時:1996年12月23日
場所:神戸文化ホール(中ホール)

久しぶりの故郷神戸での母校の演奏会です。こうへいが最後にこのステージにいたのは20年以上前。
そのとき生まれた赤ちゃんがもう成人してます(^_^;。

当日の曲目
もう、こうなると曲の説明のしようもありませんが・・・。
仮面を除くとすべてマンドリンオーケストラのために書かれた曲です。
特に、最後の「祈り」は、この演奏会のために神戸大学マンドリンクラブの委嘱によって書かれた
曲で当日が初演です。俗に言う現代音楽の範疇に入る曲です。
アマチュアの聴衆を相手に、おおよそ四半世紀にわたりこのような主張の強いプログラムを組む団体も
珍しいでしょう。興業成績を気にしないですむ学生団体ならではですね。
ただ、こうへいが現役の頃に比べ、聴衆もしっかりついてきているのは時代でしょうか。

最後の曲は、場所柄と曲名から想像できる通り、震災の街神戸のために書かれたものです。
最初から最後までかなり強烈な緊張感が維持される曲です。
作曲者自らの指導があったこともあり、難しい曲の割にはかなり完成度は高いのですが、
いい演奏であればあるほど、曲の緊張感がビシビシ伝わり、聴いている方も結構疲れます。
この直後のアンコールのクリスマスソングメドレーで思わずホッとしたのは私だけでしょうか。
もしかすると、このアンコールでの効果も意図したステージ構成なのかも知れません。

演奏する側にとってみると、このような緊張感の高い演奏をしたときの印象は強烈です。
この経験を一度してしまえば、思いっきりハマってしまいます。今日のステージが初めての
メンバーもきっと合奏が病みつきになることでしょう。20数年前のこうへいのように。

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